霊暖房

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れいだんぼう¥1000

蝉の声が喧しい昼。
表の値札を見て、俺はリサイクル店へ吸い込まれた。
「このクーラー普通に使えますか?」
「とっても冷えるよ、キンキン」
胡散臭い気もしたが、破格値に即決した。
西向き6畳1間の我が家、これで熱帯夜に苦しまずに済む。

ところがどっこい、クーラーからは常温のそよ風しか出てこなかった。しかし、店主に嘘はなかった。確かに冷えた。クーラーに憑く幽霊によって。
霊はアツユキと名乗った。
最初は不気味だったが、アツユキは大人しい奴だし、何しろ快適だったのでそのままにした。暇な時、一緒にゲームに興じたり、話し相手がいるのも良い。
けれど冬は地獄になった。ポンコツは温風を出せず、アツユキ効果で凍えそうだ。
「出ていく」
「平気だから居ろよ」
厚着をした俺は、キムチ鍋を突きながら今日もアツユキを止める。
本当に平気だった。鍋のお陰か、胸の中はじんわりと温かいんだ。
青春
公開:18/03/23 23:24

途川ひとな

読むのも書くのも好きです。
頭の中を伝えることが苦手なので、訓練としてたくさん投稿できたらなと思っています。上手くなりたいので、アドバイスいただけると嬉しいです。

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