1
190
「神様…」
幼い少女が『それ』に覆われていく空を見つめ震えながら呟く。
「その神様が決めた事だ」
隣で立ち尽くす男性が力無く答える。彼だけでは無い。この地上に立つ全ての者が空を見上げ、絶望感を噛み締めていた。
かつて、地球には巨大なビルが立ち並んでいた。だが、人の度重なる過ちにより、今や一面荒野だ。既に、財ある者達は他の惑星へ移住の旅に出てしまった。残された人々は、再び人類の楽園を取り戻そうと団結し湧き上がる。そんな矢先、空を覆う分厚い皮膚の様なものが出現した。
「蛹…」
誰が言い出したか。しかし、確かにそれは昆虫が蛹化する時の外皮に似ていた。皮は徐々に地球を覆っていく。
「蛹の中で私達はどうなるの?」
少女は言いながら、泣き崩れる。
「ドロドロに溶けて一から再生するんだよ」
聡明そうな男性がそう呟いた後、言葉を発する者は誰1人居なかった。そして、ただ静かに闇が全てを飲み込んでいった。
幼い少女が『それ』に覆われていく空を見つめ震えながら呟く。
「その神様が決めた事だ」
隣で立ち尽くす男性が力無く答える。彼だけでは無い。この地上に立つ全ての者が空を見上げ、絶望感を噛み締めていた。
かつて、地球には巨大なビルが立ち並んでいた。だが、人の度重なる過ちにより、今や一面荒野だ。既に、財ある者達は他の惑星へ移住の旅に出てしまった。残された人々は、再び人類の楽園を取り戻そうと団結し湧き上がる。そんな矢先、空を覆う分厚い皮膚の様なものが出現した。
「蛹…」
誰が言い出したか。しかし、確かにそれは昆虫が蛹化する時の外皮に似ていた。皮は徐々に地球を覆っていく。
「蛹の中で私達はどうなるの?」
少女は言いながら、泣き崩れる。
「ドロドロに溶けて一から再生するんだよ」
聡明そうな男性がそう呟いた後、言葉を発する者は誰1人居なかった。そして、ただ静かに闇が全てを飲み込んでいった。
SF
公開:18/03/23 23:16
更新:18/03/24 07:10
更新:18/03/24 07:10
ログインするとコメントを投稿できます