ソーダと地球

私は十年前、罪を犯しました

当時、私はフランスでワイン農家を営んでいました
その年の葡萄は大変出来が良く、果肉の甘みと渋みが絶妙でした。これをワインにすれば高く売れぞと息巻いていたものです
そんな時です。あの女が現れたのは

彼女は冷笑を浮かべ、私に協力すればもっと儲かるわよとインサイダー取引を持ち掛けてきました
当然、私は申し出を断ります
けれど、彼女はどこで調べてきたのか、我が家の経営が苦しい事を掴んでいました
それに彼女の手が私に触れた途端、ビビッと電撃が走ったのです。これはチャンスなのではと
気付けば私は彼女に心酔し犯罪の片棒を担いでいました
方法は単純
ワインの中にソーダを混ぜ、スパークリングワインとして売る事です。バレない自信がありました
けれど舌の肥えたフランス市民がすぐ気付き、計画は水の泡
私は急遽、13時発、エールフランス5便に乗り、地球の反対側、東京へ逃げて来たのです