ソーダと地球

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ある深海の底に二匹の蟹の兄弟が住んでおりました
ねえ、兄さん。また一つ生まれたよ
ああ、生まれたね
ねえ、兄さん、今度は一つ散ったよ
ああ、散ったね。パーンと弾けて消えたね
あれは一体、何なの
あれは地球の息吹だよ。地球は毎日、新たな命を生み出し、古くなった命を消しているのさ。いわば呼吸なんだ。それを繰り返さなければ地球は死んでしまうのさ
僕達もいつかあんな風に消えるの
そうかもしれないね
それなら僕は一度で良いから明るい世界へ行って見たいな。ここは年中、真っ暗だもの。明るい物と言えば深海魚の明かりだけ
よし分かった。兄さんがなんとかするよ
そう言うと兄さん蟹は口から吐いたソーダの様な小さな泡を一つにまとめ、自家製のエレベータを作りました
兄さん、これじゃ小さいよ。もっと膨らませて
ああ、わかったよ。兄さん蟹は全身が真っ赤になるまで息を吐き続けました
そうしているうちにパーンと弾けました。
公開:18/03/25 19:26

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