蓄光少女
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僕は修学旅行の班長になった。普段からおとなしい彼女のことが心配だった。
「困ったことがあったら僕になんでも言ってね」
彼女は無言で頷いた。
修学旅行初日の夕方、彼女は部屋から出てこなくなってしまった。
僕はドアをノックして声をかけた。
「何かあった?」
彼女がドアを開けると、部屋から光が漏れた。
彼女は、ぼんやりと光っていた。
「私…太陽に当たりすぎると…光っちゃうの…」
彼女はしゃくりあげながら言った。
「30分くらいで…元に戻るから…お願い…誰にも…言わないで…」
「わかった。約束だよ」
僕は小指を差し出し、ほんのりと光る彼女の小指に絡めた。
「…ありがとう…」
30分待って、僕たちは部屋から出た。
20年後、同窓会で会った彼女は薬指に指輪をしていた。
彼女の輝きは、僕だけの秘密ではなくなってしまったようだ。
それでも、ほの暗い居酒屋で彼女だけがぼんやり輝いて見えた。
「困ったことがあったら僕になんでも言ってね」
彼女は無言で頷いた。
修学旅行初日の夕方、彼女は部屋から出てこなくなってしまった。
僕はドアをノックして声をかけた。
「何かあった?」
彼女がドアを開けると、部屋から光が漏れた。
彼女は、ぼんやりと光っていた。
「私…太陽に当たりすぎると…光っちゃうの…」
彼女はしゃくりあげながら言った。
「30分くらいで…元に戻るから…お願い…誰にも…言わないで…」
「わかった。約束だよ」
僕は小指を差し出し、ほんのりと光る彼女の小指に絡めた。
「…ありがとう…」
30分待って、僕たちは部屋から出た。
20年後、同窓会で会った彼女は薬指に指輪をしていた。
彼女の輝きは、僕だけの秘密ではなくなってしまったようだ。
それでも、ほの暗い居酒屋で彼女だけがぼんやり輝いて見えた。
青春
公開:18/03/25 17:30
北海道出身です。
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