冷たい足し算

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火星へ緊急の任務を担い向かう宇宙船の中。緊迫した空気が流れていた。
最低限のライフラインしか積まれていない中、密航者が見つかったのだ。
「火星に居るお兄ちゃんに会えると思って」
無邪気な少女だった。しかし彼女を乗せていたら火星へつくことは出来ない。彼女を降ろすしか、火星へ着く方法は無いのだ。しかしそんな非道なことはしたくない。頭を悩ませる船員達。そんな時物音がした。
「すみません…僕も火星へ行くのが夢で」
新たな密航者に驚く船員達はさらに驚くことになる。
「あの、ごめんなさい。火星へ新婚旅行へ行きたかったけどお金が無くて…」
続々と現れる密航者たちにもはや呆れるしかない船員達。このままではライフラインが持たない。やむを得ず地球へとんぼ返りすることとなった。任務は遅れてしまった。しかし、密航者達の命は救われた。非道な選択をせずに済んだ事に、若干の安堵を覚える船員達であった。
SF
公開:18/03/22 21:16
更新:18/03/22 22:43

白梅 弥子

純粋で腹黒で素直なひねくれ者です。
ホラーやSFを中心に、様々なジャンルで書いていきたいと思っております。
twitter @yakoz85
https://twitter.com/yakoz85?s=

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