一等賞

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『ねぇ、ママ!みて!みて!』
 お空が大好きなカズキが庭先でそう言った。

『ほら、なにか おちてきたよ』
 カズキは4月で3才。

『あれは、なぁに?』
 答えを聞いてカズキは続けた。

『へぇ、あれがユキ?どこからくるの?』

『じゃあソラはユキのおうちだね!』
 カズキの疑問が会話の泉に湧き出した。

『あのナカのダレがおウチをでたイットウショウ?』
 母親は目を丸くした。

『おちるのはダレがイットウショウ?』
 答えに困った母親と空を見あげながらカズキは首をかしげた。

 そのうち『あの雪』は『この雪』に変わり、お家を出た一等賞もわからないまま、落ちる一等賞は姿を消した。

「さっ、カズくん。お家入っておやつ食べよっか」
 地面に消える末等(まっとう)賞すらわかるはずのない母親の言葉が終わるのを待たずに、カズキは庭先から玄関へ駆け出した。

『やったぁ!ボクがイットウショウ!!』
その他
公開:18/03/22 12:38
更新:18/03/22 21:30

kaoru3737

小説とは...がそもそもわかってない私が、お誘いをうけてSSGに参加させていただくことに...。

拙い作品ですが、400字ほどのお時間をいただけるようでしたら、お読みいただき、ご意見・ご感想などをいただけますと幸いです。

[所属等]
◆全日本かくれんぼ協会 副会長
◆フリー(無料)DJ&MC
◆手話サークル代表
◆温泉ソムリエ
◆レターポット研究家

[趣味]
バンド(ドラム)、作詞作曲(ギター)、映画•美術鑑賞、手話、韓国語、英会話…etc.

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