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工藤さん、工藤アミカさん
誰かに頬を引っ張られた。
でも気にしない。あともう少し、今が一番いいところなんだ。
春先の心地よい風にさそわれ、私は夢の中で胸きゅんのラブストーリを展開していた。
なにか鼻先に変な香りがした。キュッ、キュッと擦れる音も。
ふと、顔をあげると鏡に変な奴がいた。コントに出てくる泥棒の様な奴が。
工藤、何、寝てるんだよ。俺ばっかりに仕事をさせて
同じ図書部の斎藤君が何か言っている。
あぁ、そっか、仕事の途中についつい寝ちゃったんだ。ごめん
それから、顔、洗って来いよ。先輩に悪戯されていたぞ
幸い、油性ペンでは書かれていなかったようだ。
私は急いでお手洗いへ向かう。その途中、恥ずかしさで顔を覆っていたそのせいで職員室から出てきた生徒にぶつかった。
すいません。・・あれっ
そ、その黒ひげ。もしかしてアミカ? 
それは斎藤君の双子の兄、斎藤壮馬だった。留学先から帰ってきたのだ
公開:18/03/23 10:45
更新:18/03/23 22:33

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