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とある幼稚園の入園式。
母親に連れられた元気な園児達が、次々と自分の教室に入っていく。
くま組、はと組、いるか組…
「いつまで泣いているの」
泣きじゃくる女の子を母親が嗜めている。
ゆり組に入りたかった女の子は、
諦めきれないのか、ゆり組の教室の前から動かない。
中からは濃厚な百合の花の匂いが届いてくる。
「あなたはゆり組じゃないでしょう。さぁ、自分のクラスに行くわよ」
そして教室に入ると、
歯をむき出しにした馬面の先生が歓迎の挨拶を始めた。
「ようこそ足の速い皆さん!これからお友達と一緒にたくさん学んで、お国のために頑張りましょう!」
あちこちで威勢の良い声が上がる中、女の子は泣き続けながら耳を伏せた。
長い睫毛に涙がこびりついて、瞬きがしにくい。
けれど涙を拭う手は、
もうそれほど器用ではなくなってしまった。
そのことが悲しくて、女の子はまた一つ涙を零した。
母親に連れられた元気な園児達が、次々と自分の教室に入っていく。
くま組、はと組、いるか組…
「いつまで泣いているの」
泣きじゃくる女の子を母親が嗜めている。
ゆり組に入りたかった女の子は、
諦めきれないのか、ゆり組の教室の前から動かない。
中からは濃厚な百合の花の匂いが届いてくる。
「あなたはゆり組じゃないでしょう。さぁ、自分のクラスに行くわよ」
そして教室に入ると、
歯をむき出しにした馬面の先生が歓迎の挨拶を始めた。
「ようこそ足の速い皆さん!これからお友達と一緒にたくさん学んで、お国のために頑張りましょう!」
あちこちで威勢の良い声が上がる中、女の子は泣き続けながら耳を伏せた。
長い睫毛に涙がこびりついて、瞬きがしにくい。
けれど涙を拭う手は、
もうそれほど器用ではなくなってしまった。
そのことが悲しくて、女の子はまた一つ涙を零した。
SF
公開:18/03/21 18:15
更新:18/03/22 03:13
更新:18/03/22 03:13
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