はるかぜとさくら

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高校の帰り道、雪解けの公園。
青いベンチに、女の子がひとり佇んでいるのが見えた。興味本位で私は女の子に声をかける。
「なにしてるの?」
「ハルと、待ち合わせなの。」
「ふーん、お友達なんだ。」
「うん。」
「仲良しなの?」
「そうだよ。優しいんだ。たまにやんちゃでいたずらするけど。」
「へえ。男の子かな。」
「そうだよ。…あ、きたよ!」
そういうと、女の子は私の後ろを指差した。振り返った途端、強い風がびゅうと吹き、思わず目を瞑る。その拍子、肩にかけていたマフラーがするりと抜けて、風に飛ばされてしまった。
はっと向き直ると、ベンチにいたはずの女の子は居ない。
「あれ?」
辺りを見回すと、そばにある桜の木に飛ばされたマフラーが絡まっていた。背伸びをして手をかけると、桜の花が薄桃色に芽吹いている。 昨日は、蕾だったのに。
「春風くんと桜ちゃんの、待ち合わせだったのね。」
ファンタジー
公開:18/03/21 08:29

あおい( 北海道 )

結婚し、幸せになりを潜めて3年。
再び書きたくて登場。
多分そのうちまた消える。

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