人は思い出にお金を払う

眼前いっぱいに広がるラベンダー畑はむせ返るようなアロマのシャワーだ。

パンと一緒に食べるザワークラウトの酸味が体の疲れを癒してくれるようだ。

北海道バニラは濃厚でミルクのおいしさと相まって甘さは控えめでもシットリとした食感がたまらない…


そろそろ気がついただろう。

自分で感じた事なんて一つもない。全部ガイドブックやネットで書かれている事だ。新たに発見した事なんて一つも無い。

せっかく名古屋から北海道旅行に来たのに自分で感じたことなどありゃしない。

こんなに距離と時間をかけて、手に入れるのは人の行動をなぞるだけ、冒険して未知の発見の喜びを感じるのは一部なのだ。

ボクたちは、景色を見ずに情報を見て、食べ物を味あわずに情報を食べ、自分で感じることなく情報にお金を払い続けるのだ。

情報の奴隷宣言…