あらそい好き

神様は争う人々を見て、この世界から全ての諍いをお取りになりました。
人の心に妬み嫉みの湧かぬように世の全ての戦の種を消したのです。そして、十分な食べ物と、美しい土地を人々に与えてくださいました。
人々は平等に食べ物と土地を分け合い、清らかに暮らしました。職がない者も、体の弱い者も、足りている者で助け合うのです。
さて、世にある娯楽文化も皆安全なものになりました。何せ暴力や悪感情はないのですから、単純です。必ず大団円。これほど詰まらぬ娯楽もありません。スポーツさえも競争とは無縁なのですから。
結果として世の人々は淫蕩に耽るばかりです。生み増え生み増え、人口爆発。せっかく神様にいただいた世界も消費し尽くし、争わぬ人々は絶滅したのです。

「いや、この世界は実に良いねぇ」
「理想郷でありながら廃退的、攻撃的で良い作品ですね」
「今回の“神による世界終焉コンテスト”、優勝狙いでがんばりましたから」