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川辺の桜は枝垂桜
山に咲くのは山桜
流れる小舟からゆらりと見る桜は薄桃色で
トンネルを抜けると、その先は桜木町の歓楽街
ネオンの明かり誘われて千鳥足でそこへ踏み込めば
そこにあるのは外界から切り離された異空間
あちらこちらでピンク色のチラシが空を舞う

お客様、ご氏名は御座いますか
君に任せるよ
では、当店ナンバーワンの桜を
でも、それって値が張るんだろ
とんでもない。一時間、五万円ポッキリ。それもまだ若い蕾でっせ
ほお、五万かい。その上、蕾
お客さん、今日はパッとひと花、咲かせましょうや。後は帰る時もチップの札束をパッと豪勢に散らせてくれれば店としては御の字ですわ。
それは楽しみだ。では、宜しく頼むよ

・・君、私の望んでいたのとは少し違う気がするのだが。
お客さん、何か問題でもありまっか。ちゃんと見なはれ。桜はん。綺麗でっせ
し、しかし、強面の若い衆を並べて背中の桜吹雪を見せられてもね
公開:18/03/21 23:05
更新:18/03/22 18:07

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