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誰も彼もが当たり前のようにスマホを持ち歩く時代になった。
それどころかスマホが手元にないと落ち着かず、うっかり家に置き忘れた日には、心細さに一日中そわそわしてしまうほど。
スマホはもはや単なる機械の域を超え、着脱可能な人体の一部になったといえるのかもしれない――。
地球から遠く離れた宇宙空間に浮くスターシップの中で、二人の異星人がモニターに映るその様子を満足そうに眺めていた。
「地球人を攫って脳内にチップを埋め込む作戦は、残念ながらうまくいかなかった。しかし、今回は成功だな」
「まったくだ。あの端末を気に入って肌身離さず持ち歩いてくれるおかげで、彼らの情報はすべてこちらに筒抜け。
我々が密かに紛れ込ませている情報も、何の疑いもなく鵜呑みにしてくれる」
「それもこれも、偶然地球で発見したこのすばらしい戦略書のおかげ…」
そうほくそ笑む異星人の手には、イソップ童話の『北風と太陽』が…。
それどころかスマホが手元にないと落ち着かず、うっかり家に置き忘れた日には、心細さに一日中そわそわしてしまうほど。
スマホはもはや単なる機械の域を超え、着脱可能な人体の一部になったといえるのかもしれない――。
地球から遠く離れた宇宙空間に浮くスターシップの中で、二人の異星人がモニターに映るその様子を満足そうに眺めていた。
「地球人を攫って脳内にチップを埋め込む作戦は、残念ながらうまくいかなかった。しかし、今回は成功だな」
「まったくだ。あの端末を気に入って肌身離さず持ち歩いてくれるおかげで、彼らの情報はすべてこちらに筒抜け。
我々が密かに紛れ込ませている情報も、何の疑いもなく鵜呑みにしてくれる」
「それもこれも、偶然地球で発見したこのすばらしい戦略書のおかげ…」
そうほくそ笑む異星人の手には、イソップ童話の『北風と太陽』が…。
SF
公開:18/03/21 22:38
ショートショート講座への参加をきっかけに、登録させて頂きました。
子供のころからショートショートの大ファン。
文章は、書くのも読むのも大好きです。
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