破綻した悲しみ
0
173
「君は、僕が死んでも泣いてくれないんだろうな」
電話口から、冷たい言葉が飛び出してきた気がした。
そうね、と相槌を打って、少し考えたけれど、私は彼がいなくなる事なんて、想像がつかなかった。
命の終わりは、肉体が潰える時なのだろうか。それとも、忘れ去られた時?
もしか彼の身体がなくなったら、私は悲しい、のだろうか。
この優しい声も、会った時に触れるふわふわの髪も、全部無くなったら、どうなってしまうのだろう。
「ねえ」
「どうした?」
「あなたが死んだら、私、泣かないと思う」
「……どうして?」
感触はここに残っている。笑顔も消えることはない。
私は今の彼が好き。
未来の彼でも、過去の彼でもない。今の彼が好き。
——未来の彼が死んだとしても、今の彼が残っていれば。
破綻した考えを示した後、気が付いたら、私は泣いていた。
電話口から、冷たい言葉が飛び出してきた気がした。
そうね、と相槌を打って、少し考えたけれど、私は彼がいなくなる事なんて、想像がつかなかった。
命の終わりは、肉体が潰える時なのだろうか。それとも、忘れ去られた時?
もしか彼の身体がなくなったら、私は悲しい、のだろうか。
この優しい声も、会った時に触れるふわふわの髪も、全部無くなったら、どうなってしまうのだろう。
「ねえ」
「どうした?」
「あなたが死んだら、私、泣かないと思う」
「……どうして?」
感触はここに残っている。笑顔も消えることはない。
私は今の彼が好き。
未来の彼でも、過去の彼でもない。今の彼が好き。
——未来の彼が死んだとしても、今の彼が残っていれば。
破綻した考えを示した後、気が付いたら、私は泣いていた。
その他
公開:18/03/19 21:59
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます