享年14歳

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うちのたまは14歳で死にました。
幼い頃、たまとドーベルマンのジャッキーと遊んでいたのを覚えています。
お母さんは優しい女医さんで、お父さんは偉い刑事さんで、お兄ちゃんがいて、友達から羨ましがられたものです。
幼稚園の頃、友達の家の猫とたまが全然違うことに気付きました。でもお母さんはそれについて教えてくれませんでした。
小学生になった頃、たまの具合が悪くなって、お腹が大きくなってきました。
そしてある日、家から帰ってくるとたまが死んでいました。ジャッキーに食い殺されたんだと聞かされました。幼い頃、一緒に、遊んでいたのに。
たまの葬式が終わって、親戚の人たちの前で泣きじゃくっていたお母さんは、ケロッとして私に骨壷を投げるように渡しました。
腕いっぱいにずしりと抱えた骨壷の重さは忘れません。
私は今、たまが死んだ歳になりました。
たまの一生は短すぎました。
今はただ、お兄ちゃんの目が怖いです。
ミステリー・推理
公開:18/03/19 21:40
更新:18/03/22 22:49

白梅 弥子

純粋で腹黒で素直なひねくれ者です。
ホラーやSFを中心に、様々なジャンルで書いていきたいと思っております。
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