早押しボタン

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学ランとセーラー服だから入った高校だが、友達も思い出もたくさんできた。好きな人も一人だけできた。
今日は卒業式だ。
友達と離任式で会おうと言って、私は車を取りに行った両親を待ち、下駄箱の傘置きに腰掛けた。あの子が一人でやって来て靴を履き替える。「一人で帰るの?」と声をかけてくれた。
「親待ち」
俺も、と彼は答えた。
私は彼の胸元を見る。
「第二ボタン残ってるんだね?」
「売れ残りじゃないよ」
「誰かに渡すの?」
「まあね」
彼は県外に進学する。
最後に、第二ボタンが私以外の誰にあげるかを聞いてもいいだろうか。

「突然ですが問題です。俺が第二ボタンを渡すのは誰でしょう。第二ボタンを押してお答えください」
言われるままに指で押して、私は親友の名前を言う。
「当たったら紅白餅つけたのに
。しょうがない。不正解者には賞品として"答え"をやろう」

彼は第二ボタンを外して、私に差し出した。
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公開:18/03/19 17:41

砂塵

読んでいただきありがとうございます。
話のおもしろさ云々はひとまず置いといて、とりあえず一本完結させることを重視して書いてます。
朗読ラジオ「月の音色リスナー」です(^o^)/
低浮上中なのでコメント返し遅れるかもですが必ずお返しします。

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