河童のマリッジブルー

休日、釣りを楽しもうと近くの河原へやってきた。すると、向こう岸に河童が座っていた。

この村では有名な河童で、珍しくはなかった。何度も溜息をつき、なにか悩んでいるようだ。河童が気になり釣りを後にして、声をかけてみることにした。

「おーい。そっち行っていいか」

河童はゆっくり頷いた。

「なんかあった？」

「実は、彼女のことで悩んでるんです。人間の女性なんです」

「そっか。恋に年齢も人間も関係ないじゃないか」

「昨日、結婚の約束をしたんです」

「えっ！よかったじゃん」

「でも……。」

「なにが問題なんだよ」

「彼女、マキって名前なんです」

結婚となると、河童……マキ。

（カッパ巻き？）

「あ、いま寿司のこと考えましたよねぇ」

「あ、いや、キュウリのこと」

「カッパ巻きじゃないか！」

「結婚に名前なんて関係、」

「そんな安っぽい女にしたくないんですよ！」