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彼女は、個室の男子トイレと女子トイレの扉の間に立っている。
いつも笑顔で、華やかなドレスを着て、ただただニコニコと笑いながら案内をする。
「あっ今は誰かが入ってらっしゃいます」
「男子トイレはこちらですよ」
僕はそんな彼女を、店に行く度に眺めていてある日、目は笑っていないことに気付いた。
彼女への興味は増していく。トイレを利用する人達は軽く会釈して出入りしていくだけだ。そんな彼女を眺めていてある日、意を決して声をかけてみた。
「どうしていつもそんなに笑っていられるんだい?」
「それが私の仕事ですもの」
僕は切なくなった。彼女は続ける。
「トイレへ来るお客さんは沢山いるけれど、私を呼んでくれるお客さんはいないから」
彼女の笑顔にふっと影が差したように見えた。
「そっか」
僕はいたたまれなくなって席に戻った。
次に店を訪れた時、彼女を指名した。その時、やっと彼女の本当の笑顔が見れた気がした。
いつも笑顔で、華やかなドレスを着て、ただただニコニコと笑いながら案内をする。
「あっ今は誰かが入ってらっしゃいます」
「男子トイレはこちらですよ」
僕はそんな彼女を、店に行く度に眺めていてある日、目は笑っていないことに気付いた。
彼女への興味は増していく。トイレを利用する人達は軽く会釈して出入りしていくだけだ。そんな彼女を眺めていてある日、意を決して声をかけてみた。
「どうしていつもそんなに笑っていられるんだい?」
「それが私の仕事ですもの」
僕は切なくなった。彼女は続ける。
「トイレへ来るお客さんは沢山いるけれど、私を呼んでくれるお客さんはいないから」
彼女の笑顔にふっと影が差したように見えた。
「そっか」
僕はいたたまれなくなって席に戻った。
次に店を訪れた時、彼女を指名した。その時、やっと彼女の本当の笑顔が見れた気がした。
その他
公開:18/03/18 01:36
更新:18/03/22 22:46
更新:18/03/22 22:46
純粋で腹黒で素直なひねくれ者です。
ホラーやSFを中心に、様々なジャンルで書いていきたいと思っております。
twitter @yakoz85
https://twitter.com/yakoz85?s=
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