たった一枚のクッキー

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生まれて初めて、ホワイトデーに男性からプレゼントを貰った。と言っても、コンビニでよく見るクッキーだが。それでも嬉しかった。会社なので「皆で食べて」というものは、毎年誰かしらくれる。確かに嬉しくはあるが、そこまで大きな喜びも無い。が、個人宛というものは、こんなにも心踊るものなのか。今朝渡されてから、残業時間に入った今の今まで、私の心臓はリズミカルに踊り続けていた。
「百円のクッキーでここまで楽しめるなんて」
ふと、そんな言葉が脳内を過ぎった。そして、この後に続く言葉は二択だった。
「安い女だな。こんなに喜んでいる事を相手が知ったら気持ち悪い奴と思うに決まっている」
もう一つは
「楽しみ上手だな、私。人生は小さな喜びからコツコツと、なんてね」
さて、どちらが良いか悪いか。それを選択するのも私である。たった一枚のクッキーが教えてくれたのは、大事な事は何が起きたか、ではなく、どう思うか、だった。
その他
公開:18/03/18 00:49
更新:18/03/18 00:50

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