焦げた空

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 飛ぶ鳥が黒く焦げるまで焼かれた空だ。
 きっと助からないだろう。私も君も、そろそろと延びる日に貫かれる。
 遂げられない思いなんて捨てられてしまえば、どれだけ楽なのだろう。
 君と私は永遠に、繰り返すだけなのか。
 寄せた唇が触れることはない。震えた呼気が、ただ交わり融けた。
 言葉なんて軽いんだ。どうすれば伝わるのか分からない。いっそのこと、日の残光に引き裂かれれば、君に私の思いを見せられるだろうか。
 飛ぶ鳥の姿が見えないくらい、黒が濃くなった空だ。
 もうじき月が上ってきて、私の姿も、君の姿も隠すだろう。
 そっと離れようとしても、離れられなかった。
 無理に解こうとした縄は、更にきつく締まるだけだった。
 触れ合えない唇同士が、互いの頬に辿り着いた。
 悲しいくらいに訴える心を、どうやって見せたら良いのか分からない。
 きっと助からないだろう。君も私も、月の影に置き去りにされる。
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公開:18/03/17 22:41

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