伸ばした手、すり抜けた指先。

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「ろんぐろんぐあごー」。
「わんすあぽんなたーいむ」。

隣の保育園から聞こえてくる元気なひらがな英語で目覚め、君が入れるコーヒーを飲む。何気ないことが幸せな毎日だった。

大学3年生の僕らはバイクで一緒に出かけた。

ある朝、君を後ろに乗せ、走り出した瞬間、飛び出してきた園児を避けたところで僕の記憶は止まった。

あれから2年が経ち、君が部屋を出て行く。

「見送るまで」との条件で君に会いに来た。部屋に着いたとき、君は僕の遺影をバッグにしまい出て行くところだった。

ドアノブを握り、かけた鍵を確認する君の右手に触れるのが毎朝の「さっ、行こっか!」の合図だった。

伸ばした手、すり抜ける指先。

階段を降りる君を見送ろうとしたその時、僕の身体は空に昇り始めた。

青い空を見上げた君と目があった気がした。

小さくなる君の姿と元気なひらがな英語。

「ろんぐろんぐあごー」。

君との想い出。
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公開:18/03/18 22:29

kaoru3737

小説とは...がそもそもわかってない私が、お誘いをうけてSSGに参加させていただくことに...。

拙い作品ですが、400字ほどのお時間をいただけるようでしたら、お読みいただき、ご意見・ご感想などをいただけますと幸いです。

[所属等]
◆全日本かくれんぼ協会 副会長
◆フリー(無料)DJ&MC
◆手話サークル代表
◆温泉ソムリエ
◆レターポット研究家

[趣味]
バンド(ドラム)、作詞作曲(ギター)、映画•美術鑑賞、手話、韓国語、英会話…etc.

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