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ひたひたと耳の奥まで浸水する(足音)
ひたひたと波紋を広げる爪先がゆっくり此方に近付く。
長いスカートの裾がゆらり水に浸かって尾鰭の様に揺れる。
ひたひたと目の前で白い裸足が浮かぶ。
(あれが自分の足だったのなら、こうして水に半身を沈めたあたしは何?)
泡が頰を撫でてゆく。
酸素を忘れた肺が水浸しで(あたし)から(人間)の要素が時間をかけて離れる様に蕩けてゆく。
沈んでゆく視界のぼやける視界と膜を張ったような水晶体。
指先を魚がつつく……
(此処が何処なのか見当もつかない)
黒い尾鰭が翻り、赤い液体が魚の形に変化する。
(あたしの言葉は詩的遊戯に過ぎない?)
限界に触れる神経を逆撫でして、そっと息を吐く(それは最早、泡沫)
弾ける泡と意識の群れ。
(あたし)だったものは底で仰向けに寝転がる。
爪先だと思ったものが絶えず流れてゆく。
薄紅色の淡い光。
ひたひたと波紋を広げる爪先がゆっくり此方に近付く。
長いスカートの裾がゆらり水に浸かって尾鰭の様に揺れる。
ひたひたと目の前で白い裸足が浮かぶ。
(あれが自分の足だったのなら、こうして水に半身を沈めたあたしは何?)
泡が頰を撫でてゆく。
酸素を忘れた肺が水浸しで(あたし)から(人間)の要素が時間をかけて離れる様に蕩けてゆく。
沈んでゆく視界のぼやける視界と膜を張ったような水晶体。
指先を魚がつつく……
(此処が何処なのか見当もつかない)
黒い尾鰭が翻り、赤い液体が魚の形に変化する。
(あたしの言葉は詩的遊戯に過ぎない?)
限界に触れる神経を逆撫でして、そっと息を吐く(それは最早、泡沫)
弾ける泡と意識の群れ。
(あたし)だったものは底で仰向けに寝転がる。
爪先だと思ったものが絶えず流れてゆく。
薄紅色の淡い光。
その他
公開:18/03/18 21:57
BIRTHDAY: 1987.5.21
憑幻家、鏡花水月を着地点に創作して居る。
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