桜の鉢
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祖母の家は下町にあり、私は学校に行くフリをしては、よく急行に乗っていた。
庭も無い、二階建て木造アパートに住む祖母は、植木鉢やプランターで様々な花を育てていて、軒先はいつも彩り豊かに咲いていた。
「これは、桜?」
植木鉢に一本の木が植わっていた。枝分かれも二本程度と小さいが、節々から芽が出ている。
「ああ、そうだよ。四、五年前に台風が来たろう。川沿いの桜並木もひどくやられてね。落ちていた枝を試しに植えてみたら、根付いたのさ。去年も芽が出てね。でも花が開く前に腐ってしまってね。今年は咲くといいねえ」
「あのね、おばあちゃん。あたしね、来月から別の高校に通うことになったの」
「そうかい。お前さんも新しい水が合うといいねえ」
その後、暖かい日があったり、春の長雨が続いたりして、祖母から桜が咲いたとメールが届いた。あいにく写真が付いていないので、新しい制服を着て、見に行かなくてはいけない。
庭も無い、二階建て木造アパートに住む祖母は、植木鉢やプランターで様々な花を育てていて、軒先はいつも彩り豊かに咲いていた。
「これは、桜?」
植木鉢に一本の木が植わっていた。枝分かれも二本程度と小さいが、節々から芽が出ている。
「ああ、そうだよ。四、五年前に台風が来たろう。川沿いの桜並木もひどくやられてね。落ちていた枝を試しに植えてみたら、根付いたのさ。去年も芽が出てね。でも花が開く前に腐ってしまってね。今年は咲くといいねえ」
「あのね、おばあちゃん。あたしね、来月から別の高校に通うことになったの」
「そうかい。お前さんも新しい水が合うといいねえ」
その後、暖かい日があったり、春の長雨が続いたりして、祖母から桜が咲いたとメールが届いた。あいにく写真が付いていないので、新しい制服を着て、見に行かなくてはいけない。
青春
公開:18/03/16 23:08
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