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この花は咲かない。
なのに毎年蕾はつく。

本当に咲かないの?
そうではない、特別なときには咲くのだ。

特別な最期(とき)。

人生の最期にその人にしか見られない花を咲かせるのだ。
私は幼い頃に母を亡くした。
女手一つ、泣き言も言わずあの日まで愛を注いで育ててくれた母。
最期の日、母は蕾を見つめ
『おぉ…』声を詰まらせ涙ぐんだ。
今でもはっきりと覚えている。
母の顔はみるみる穏やかになり、微笑みは喜びさえも感じさせるようだった。蕾から私に目を移し、そして静かに息絶えた。
私は幼かったが不思議と母の死を受け入れることができた。
あの日いつまでも母の顔を見ていた。恐怖も不安もない。

咲かない花

母にはどのように見えたのだろう。
他の人達は?私にはどう見えるのだろう。死は怖いものなのだろうか…

逝く母、残される私のように…みなが『死』を受け入れるため、この先もこの花は咲くことはないのだ。
その他
公開:18/03/17 16:44

みぃかもしれないみぃより( 愛知県 )

全くの初心者です
なので見切り発車のもの多数
一度載せたものでも
納得がいくように
いいと思ったらなおしますので
あしからずφ(..)
こんな私ですがよろしくお願いします

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