カメラの向こうは異世界

0
183

人からは年寄り臭いなどと言われますが、私散歩を趣味としております。
ぶらりと我知らぬ道を行き、ふらりと誰知らぬ店を訪れる。鬼が出るか蛇が出るか。それを至上の喜びとしているのです。
さて、本日はこちらの骨董屋へお邪魔したいと思います。
ふうむなるほど。サッパリ分かりませんな。いや、まあ壺が壺であり、絵画が絵画である事は分かりますよ。
ああでも、このカメラなんかは年季が入っていい感じなんじゃないですか。
こうやってカメラを構えてみれば、私もプロカメラマンの如く…ん?
私、お店の中なのに何故カメラには中世の街並みが映るのでしょうか。
それによくよく見ればあの人、耳が異様に長いな。こっちは犬の耳と尻尾が生えてるし。
カメラを覗いた向こう側は異世界でした。
興奮の境地に至った私はすぐさまカメラを買った。ただ残念なことに家に帰ってからは壊れてしまって、見たままの風景しか映さなくなってしまったのです。
ミステリー・推理
公開:18/03/15 20:30

普通のへいわじん

月の音色にて噂を聞きまして。
よろしくお願いいたします。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容