シロツメクサのかんむり
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花が嫌いだ。
色とりどりに咲き誇る様は、見る人によっては美しいんだろうけれど。
あの甘い粉っぽい匂いも、見た目も。
遠い日のこと。草原で大好きな彼がくれたのは、シロツメクサの冠だった。
「僕のものになってくれ」
そう、あなたは私にプロポーズをした。私は喜んで、それに答えた。彼と、その時は愛らしく感じた花を被って。
でも、すぐに、彼は戦で死んでしまった。私の心を持っていったまま、帰らなかった。
大切に取っておいたシロツメクサの冠も、私が泣き疲れた頃にはすっかり乾いて、薄茶けた花弁を床に落としていた。
小さな種を残して。
——私は、花が嫌いだった。
しかし、彼が最後に残した冠の子たちだけは、年老いた今でも庭先で育てている。彼がもしか帰ってきたら、同じ冠を作って、プレゼントするために。
そして、こう言うのだ。
「今度は離れないで、私のものになってください」、と。
色とりどりに咲き誇る様は、見る人によっては美しいんだろうけれど。
あの甘い粉っぽい匂いも、見た目も。
遠い日のこと。草原で大好きな彼がくれたのは、シロツメクサの冠だった。
「僕のものになってくれ」
そう、あなたは私にプロポーズをした。私は喜んで、それに答えた。彼と、その時は愛らしく感じた花を被って。
でも、すぐに、彼は戦で死んでしまった。私の心を持っていったまま、帰らなかった。
大切に取っておいたシロツメクサの冠も、私が泣き疲れた頃にはすっかり乾いて、薄茶けた花弁を床に落としていた。
小さな種を残して。
——私は、花が嫌いだった。
しかし、彼が最後に残した冠の子たちだけは、年老いた今でも庭先で育てている。彼がもしか帰ってきたら、同じ冠を作って、プレゼントするために。
そして、こう言うのだ。
「今度は離れないで、私のものになってください」、と。
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公開:18/03/15 20:21
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