漏電

終電後、駅員が線路を見回りしていると電車の電線がショートしている事に気付いた。
景気よく火花を散らして燃えている。
大変だ。明日の始発までに何とか復旧をしなきゃ。きっと大混乱になるぞ。
駅員は徹夜で復旧を急いだ。だが、始発までには全然間に合わなかった。

翌日、ホームは駅員が予想した通り大混乱だった。
大勢の人間が地面に乱れ散っているダイヤを拾うため集まっていたのだ。
取らないで、このダイヤはいつも私が使っているものよ。あなたのダイヤは環状だったでしょ。
いいえ、今日はダイヤを変えたの。前からそうしようと思っていたのよ。
ちょっと、いい加減なことを言わないで。あなたの好きなダイヤモンドは野球場の方でしょ。
いいえ、私のダイヤは東名なのよ。勘違いしないで頂戴。


復旧が終わったのはその日の夕方過ぎだった。
その日は、前代未聞の、ショート・ショーとなった。にわかには信じられないだろうが・・・