ゲッカビジンとカエル
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ざぶざぶ池に暮らすカエルは、今日も緑色でした。晴れの日も、雨の日も、いつも変わらず緑色です。
そんなカエルが、一度だけ赤くなったのは、遠くに綺麗な月が昇った晩でした。
背の高い、たおやかな花が微笑みを浮かべていました。カエルは心の臓を掴まれたような心地になり、真っ赤になって歌を捧げました。
そして、カエルはたった一度だけ、青くなったこともあります。それは、赤くなった翌朝に、花が散っているのを見つけた時です。
カエルは酷く悲しみ、青くなるまで歌を歌いました。その日は雨が降っていて、カエルの歌は雨が止むまで続きました。
それからというもの、カエルたちは、夜には美しい花を思って鳴き、雨の日には散ってしまったことを嘆いて鳴くのでした。
青くなったり赤くなったりしたカエルが最後に緑に戻ったのは、思い人の柔らかな葉に似せたから、だとか。
——ざぶざぶ池のカエルは、今日も緑色なのです。
そんなカエルが、一度だけ赤くなったのは、遠くに綺麗な月が昇った晩でした。
背の高い、たおやかな花が微笑みを浮かべていました。カエルは心の臓を掴まれたような心地になり、真っ赤になって歌を捧げました。
そして、カエルはたった一度だけ、青くなったこともあります。それは、赤くなった翌朝に、花が散っているのを見つけた時です。
カエルは酷く悲しみ、青くなるまで歌を歌いました。その日は雨が降っていて、カエルの歌は雨が止むまで続きました。
それからというもの、カエルたちは、夜には美しい花を思って鳴き、雨の日には散ってしまったことを嘆いて鳴くのでした。
青くなったり赤くなったりしたカエルが最後に緑に戻ったのは、思い人の柔らかな葉に似せたから、だとか。
——ざぶざぶ池のカエルは、今日も緑色なのです。
ファンタジー
公開:18/03/14 22:09
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