グロテスク

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恐れていたことがついに起きてしまった。
ある国で核ミサイルのスイッチが押され、それをきっかけに世界中で闘いの火蓋が切って落とされたのだ。
至る所で破壊と殺戮が繰り返され、全ての国家と人類がこの世から姿を消した。

焼け野原となった地上には、生命力の強い昆虫類だけがわずかにうごめいているばかり――。
しかし、それから何百年か後に再び植物が息を吹き返し、長い時を経て、再び地球に文明の灯が戻る日が訪れた。

「ご覧ください、博士!数百万年前の地層から、太古の生物の化石が発掘されました。
一緒に出土した品々を見る限り、なかなか高度な文明を築いていたようです」
「ほほぅ、これは興味深い。我々のほかにもこの地球上に知的生物が存在したとはな。
それにしてもこの生物、足が4本しかない上に羽も触覚も生えていないとは、なんとグロテスクな…」
博士は穴を覗き込み、テラテラと黒光りする体を気味悪そうに震わせた。
SF
公開:18/03/14 20:55
更新:18/03/14 20:57

幸田かなえ

ショートショート講座への参加をきっかけに、登録させて頂きました。

子供のころからショートショートの大ファン。
文章は、書くのも読むのも大好きです。

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