今日という日に

「黙祷」
校長先生の重く低い声で僕たちは静かに目を閉じた。
でも、こんなことって意味があるのかな…
亡くなった人たちはもう帰って来やしないのに…

あいつも…
あの子も…

死者に祈りを捧げるなんて、生きている側のエゴなんじゃないかな…
ただの自己満足。
亡くなってしまった人たちには悪いけど、僕は生きてて良かったと思う。

…ごめん…
僕…生きている…

瞼の裏が、ぽぉっと温かくなった。
まるで死者の思念が流れ込むように、思い出という映像がその瞼の裏に浮かび上がっては消えていく…
今でも覚えている…その声を…
あいつの…
あの子の…

でも、ごめん…
僕はまだ生きているんだ。

こんなことに意味なんかない。
そう否定したくて僕は瞼にぎゅっと力を込めた。
そして、ただ、この涙を止めたくて…