開花予報

「不平等だと思うんだ」

菜の花が言った。

春を感じる花はいくらでもある。その中で、なぜ桜だけが桜前線だの開花予想だのと騒がれるのか。開花宣言をする専門の人までいる。

おかしいじゃないか。

我々にだって開花宣言をする権利がある。春の花たちは一致団結をして、自分たちの開花予報もするようにと主張した。

人間は戸惑った。開花宣言をするためには対象の樹木を選定しなければならない。ところが今回主張している花たちはほとんどが一年草だ。たとえ今年宣言対象の草花と認定しても、来年には居ないのである。

しかしそこは人間、これは商売になると考えるものが出てきた。そして早速、開花診断士認定団体を設立し、認定試験を始めた。対象となる花の種類もあっという間に1000種類を超えた。

春、テレビの気象情報では、様々な花の開花予想と開花宣言が流れるようになった。その時間は長いときで1時間にもなったという。