誕生日

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22歳になった。誕生日は特別なものだと思っていたけれど、年々、その感覚は薄れていく。決して悲観的な意味じゃなくて、それは正しい感覚なんだと思う。私の人生の物語の主人公は私でも、宇宙全体の主役ではないのだということがわかるようになったのかもしれない。そのくらい、子どもの頃の世界はたしかに狭かった。同時に輝きに満ちていた。ブランコに乗れば空まで届くような気がした。木に登れば広い視野を持てると思った。そんな幼い部分が、22歳の私の中にも残っている。すべてまるごとじゃなくても。
大人になるにつれて何かを得て、同時に何かを失っていく。それは階段を上るというよりも散歩みたいに歩めば景色が変わっていく感覚に近い。それでも人が本当に失いたくないものだけは、無意識にでも引きずって生きているのかもしれない。よく言う「らしさ」って、そういう部分を言うんじゃないかな。
22歳。引きずったまま、堂々と生きていく。
その他
公開:18/03/12 12:36
更新:18/03/20 20:13
エッセイ 誕生日

yuna

400字のことばを紡ぎます。

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