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屋根の上には猫がいる。夜空に溶け込む様な真っ黒の猫。チョコンと座り、夜空の月を見上げていた。「梟の爺さん。今日はどんな話を聞かせてくれるの」
「ホーホー、熱心じゃのう。さてさて今日はどの話にするかのう」
梟は頭を捻りながら月の本棚から一冊の本を取り出した。猫は興味津々で尻尾を左右に振った。
「この話は「旅する猫」と言う話じゃ。ちょっと待っておれ」
梟は骨董品のレコードを月の銀盤に置き、ゆっくりと回転させた。すると満天の星々は月の音色に身を委ねワルツを踊りだした。
「それでは始めるぞ。これは一匹の猫の物語じゃ。その猫には幼少期の記憶が無かった。大人になるまで自分はその親の息子だと信じていたくらいじゃ。だがある事がきっかけで自分の記憶を探すため旅することとなる。そのきっかけとは「君がいくら成長してもあの父親の様な虎にはなれないよ」と周りの動物に聞かされたからじゃ。」
公開:18/03/12 02:23
更新:18/03/12 08:38

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