旅と猫

とある山奥に山猫飯店と言う料理店が建っていました。その店を取り仕切るのは白猫と黒猫の兄弟。
二匹とも料理の腕は優秀で上流階級を相手に腕を振るっています。その兄弟が今日に限って深刻そうです。

兄さん、どう言い訳をするつもりだい。まだ材料が届かないじゃないか。伯爵様を怒らせたら首を撥ねられるだけじゃ済まないよ
安心しろ。僕に良い考えがある
ゴニョゴニョ
さすが兄さん、それは良い考えだよ。

会場では料理待ちのお客様が頬を膨らませています。そこへ猫の兄弟が颯爽と現れ、こう切り出しました。

紳士淑女の皆様、ご来店有難うございます。本日の晩餐は趣向を凝らしてみました。ごゆるりとご堪能下さい

それから待つこと数分後、道に迷った旅人達が山猫飯店を訪れました。店頭の看板にはこう書かれています

遠路遥々お越し頂き有難うございます。当店は注文の多い料理店です。その点を了承したお客様のみ御入店ください