別れ

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元茶碗のお猪口です。今私は何枚もの紙に包まれ、箱に入れられています。これが噂のお払い箱でしょうか。そして家の外に連れ出されました。ゴトゴトと車に揺られています。ご主人様に嫌われ、捨てられてしまったのかもしれません。

あ、どこかに着いたようです。やっと箱から外に出してもらえました。知らないおっさんが私を嘗め回すように見ています。
「どこにもヒビなんてなさそうだけど」
あちこち撫でたり叩いたりしたあと、一か所をじっと見つめています。
「ん?ここに小さな穴が、ある、かな?」

おっさんは何か冷たい黒い液体を私に塗りました。しばらく放置された後、今度は綺麗な金粉を付けます。

初めて紅をさした少女はこんな気持ちでしょうか。心が浮き浮きします。

しかし、それも束の間。

私はまた紙にくるまれ箱に入れられました。今度こそ行き先は墓場でしょうか。あれは死に化粧だったのかもしれません。

えーん。
その他
公開:18/03/10 09:35
茶碗の気持ち

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

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