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梅雨空の下、私は彼を待っていた。
「あっ」
ビルから出てきた彼を見つけ、駆け寄る。
「あの」
「ああ、君か」
「この本、読んで貰っても良いですか?」
「今?」
「口で説明するのが下手で。でも、どうしても」
彼は頷くとページをめくり出す。
「過去に戻り、失敗した自分を殺して運命を修正する…なるほど」
「実はそれ、私の話なんです」
「?!」
「思いを伝えられず、あなたは私の前から消えてしまう。だから、何度も今日をやり直しているんです」
すると、彼は突然笑い出した。
「それで上手くいかないのか!」
「え?」
「実は僕も過去に戻れるんだ。君の前から姿を消した時、僕は過去に戻っているんだ」
「ええ?」
「でもその直後君も過去に戻ってしまっている。つまり、今ここにいる僕は仮想の存在となる」
「そんな」
「どうか失敗しても、このまま進んで。きっと僕達は会えるから」
その言葉を残して彼の姿は消えていった。
「あっ」
ビルから出てきた彼を見つけ、駆け寄る。
「あの」
「ああ、君か」
「この本、読んで貰っても良いですか?」
「今?」
「口で説明するのが下手で。でも、どうしても」
彼は頷くとページをめくり出す。
「過去に戻り、失敗した自分を殺して運命を修正する…なるほど」
「実はそれ、私の話なんです」
「?!」
「思いを伝えられず、あなたは私の前から消えてしまう。だから、何度も今日をやり直しているんです」
すると、彼は突然笑い出した。
「それで上手くいかないのか!」
「え?」
「実は僕も過去に戻れるんだ。君の前から姿を消した時、僕は過去に戻っているんだ」
「ええ?」
「でもその直後君も過去に戻ってしまっている。つまり、今ここにいる僕は仮想の存在となる」
「そんな」
「どうか失敗しても、このまま進んで。きっと僕達は会えるから」
その言葉を残して彼の姿は消えていった。
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公開:18/03/10 08:18
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