ください。

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黄昏時のコンビニ。レジに立つ私の前に、小さな男の子が真っ直ぐにやってきた。正直、その日のことは曖昧にしか覚えていない。
ただ、男の子は何度も 「ください。」 と繰り返した。
「何を?」
そう返しても、男の子はひたすら「ください。」と連呼する。
その時間はレジに私しかおらず、堪らず「お母さんは?」と尋ねた。すると男の子は走り去ってしまった。
次の日、コンビニの裏のアパートに数台のパトカーが止まっていた。
殺人事件で、犯人は女性。被害者は男の子だった。女性は息子を軟禁・虐待していたという。男の子は耐えかねて脱走を目論んだが、寸前で母親に捕まり、そのまま嬲り殺された。

2階のアパートの窓からは、真裏のコンビニが見える。私は思う。男の子は、そこから何度も成功のイメージをしたのだろう。
家を飛び出し、コンビニへ駆け込んで、店員へこう伝える。
「助けてください。お水をください。」と。
ホラー
公開:18/03/10 00:22

あおい( 北海道 )

結婚し、幸せになりを潜めて3年。
再び書きたくて登場。
多分そのうちまた消える。

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