日陰色の子犬

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夏祭りの夜。行き交う人々。光り輝く屋台。僕は父とはぐれてしまった。過ぎ去る影と目に突き刺さる光に、僕は只々俯いていた。
ふと、何かが浴衣の裾を引っ張る。黒い子犬だった。
「お前も父さんとはぐれたのかい?」
ああ、1人じゃない。それだけで心が慰められた。子犬の毛並みは雲のようにふわふわと柔らかく温かった。
不意に子犬は身を翻らせて僕から離れて行こうとする。
「ねえ、待ってよ!」
1人は嫌だ。たった1人で他人に囲まれた孤独なんて嫌だ。僕はたまらず子犬を追いかけた。行き交う影が子犬を飲み込んでいく。
『ドンッ!ドドンッ!!』
大きな音と光が子犬を掬い出す。もう少しで追いつける。その瞬間、僕は大きな影に囚われた。
「ようやく見つけたぞ。やんちゃ坊主め!」
その影は大きくて温かかった。顔を上げその顔を見たら、もうたまらなかった。僕は声を上げて泣いた。花火に負けぬくらい大きく。
恐かったよ、父さん。
ファンタジー
公開:18/03/10 18:08

普通のへいわじん

月の音色にて噂を聞きまして。
よろしくお願いいたします。

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