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故郷は遠きにありて思うもの。思い返せばよくもまあこんな遠くまで来たものだ。あれから何年経っただろう。宇宙飛行士として宇宙船で地球を飛び出し、月に辿り着いた所までは良かった。けれど私がちょっとトイレに行っている間に置いてけぼりになるなんて。青い地球、私にとって今、あれが第二の月だ。食糧もだんだん月欠けている。別に冗談で言った訳ではない。本当の事だ。まさかあの月が砂糖菓子で出来ているとは。私はこの月を食料とする事で命を繋いでいる。でも、そろそろ潮時だ。もうすぐ新たな波がやって来る。ここに来てから私の常識は何度も覆されている。この月は修復機能があるのか、私が食べた分を取り戻そうと周囲の空間を飲み込み再生する。うっかりそれに飲み込まれると生きては出られない。こっちが逆に食料にされてしまう。

おや、あれは宇宙船、私を助けに来たのだろうか。駄目だ、近づくな。飲み込まれるぞ。
私は必死で手を振った。
公開:18/03/10 13:35
更新:18/03/10 13:49

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