第33話「雨の日は窓辺で」

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あたしは雨の日が好きだ。ただし、屋内にかぎって。雨の中を出歩くのは、あまり好きじゃない。
窓際に座って、窓外を眺める。晴れの日の鮮やかな景色とは全く異なる、淡い平たんな色彩が目の前にある。
向かいのトタン屋根を打つ音、水溜りをはねる音、雨樋を流れる音、みんな違って楽しい。
雨滴が音もなく窓を流れる。目を凝らしてピントを窓に移す。沢山の小さな雨粒が、重力に耐えてガラスに取り付いている。上から流れてきた雨粒がぶつかり、大きな水の玉になって、重みに耐えきれず落ちてゆく。
水の親和性は不思議だ。人もこんなに融和であればいいのに。
「いい趣味じゃない」
そう言って葵姉ちゃんがホットココアを入れてきてくれた。妹の翠も得意げにマグカップを持っている。
お姉ちゃんと翠があたしを挟んで座る。どんなにくっついて座っても、溶けて一つになることはない。人は一人ひとり違うからこそいいのかも知れない、と思いなおした。
ファンタジー
公開:18/03/08 17:02
更新:18/03/08 17:47
三姉妹

射矢らた( 大阪南船場 )

2018年2月8日SSG登録
Twitter:https://mobile.twitter.com/iruya_rata


<三姉妹シリーズ>
親もとを離れて暮らす三姉妹の暮らしを
ショートショートで綴ります。
長女・葵(あおい) 社会人
次女・茜(あかね) 高校生
三女・翠(みどり) 小学生

そのほか1話モノも書きます!
 

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