カメラの向こう

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私が夜空を見あげると大きな目の巨人と目が合った。一つ目である。
瞳は金色、瞼は銀色グラデーションだった。
巨人は私をずっと無言で睨んでいる。
私は興味本位からカメラをそっとその巨人に向け撮影を開始した。
巨人は私が撮影しているのに気付いたのか、少し目線をずらした。
私は巨人が目線をずらしているうちに急いで物陰に入り、停めてあった友人の車に乗り、移動しながら隠れて撮影を続行した。巨人は私がどんなに車を走らせても後を追ってきた。私は急に気分が悪くなった。特に何かをされたわけではないが気味が悪い。早くどこかに行ってよ。私が何をしたって言うのよ。一体、あいつは何なの。何で私を睨んでいるの。誰か教えて。
その時、ヒューと強い風が吹いた。それと共にあの一つ目の巨人は散り散りになった。
ああ、なんだ。あの巨人の正体は雲と月だったのか。
んっ、もしかして、太古の人間も私と同じ体験をしたのだろうか。
公開:18/03/09 22:47
更新:18/03/10 15:28

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