さらさら毛玉

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まりものような、ケセランパサランのような、ウニの突然変異のような、生物か海藻かもわからない何か、さらさら毛玉。海の底にゴロゴロ沈んでいて、黒く長い体毛を海水にゆらゆら漂わせている。
新米海女がウニと間違えて取ってきて発見された。海女が扱いに困って陸に放置していたら、下敷きで擦った髪みたいに毛玉の体毛が立ちあがり、潮風で波打ち、さらさらとなびいた。そんなわけで不思議な毛玉はさらさら毛玉と呼ばれるようになった。

漁師の祖父が、さらさら毛玉をウニみたいだからと食べてしまった。すると翌日祖父のやかん頭にうっすら毛が生えてきた。この話が広まり、やかん漁師達はこっそりと夜に海底をさらい、さらさら毛玉は姿を消した。やかん漁師達は、船上で黒髪がなびく様を妄想しては笑った。

だがしばらくして祖父の頭は最新の育毛剤の成果だとわかった。さらさら毛玉とはなんだったのか。食いつくされたので誰にも何もわからない。
その他
公開:18/03/09 18:11

砂塵

読んでいただきありがとうございます。
話のおもしろさ云々はひとまず置いといて、とりあえず一本完結させることを重視して書いてます。
朗読ラジオ「月の音色リスナー」です(^o^)/
低浮上中なのでコメント返し遅れるかもですが必ずお返しします。

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