下らないお話

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「ええ、はい、では詳細はメールで送って下らない…」
…あれ?
慌てて言い直す。
「メールで送って下らない」
…あれ?
電話の向こう側の顧客は忙しいらしく、聞き流してくれて幸いだった。
通話を切って自分に聞かせるようにもう一度。
「メールで送って下さい」
何だ、ちゃんと言えるじゃん。

午後の会議でそれは再発した。
「この表をご覧下らない」
その語尾に、ん?と皆の視線が僕に集まる。
「君はふざけているのかね」と怒り顔の部長。
「ぃ…いえ、そういうわけでは」
「もういい」
「誤解です。話を聞いて下らない」
…って、マズイ
皆が凍りつき、呆れた部長が吠える。
「退出したまえだのクラッカー!」
…クラッカー?
今度は部長が慌てて口を押さえた。
ついに社長がキレる。
「君達は一体何をしているーじょん!」
…イルージョン?って何…

語尾予測変換病と命名されたこの恐ろしい病気は瞬く間に全国に広がった。
ホラー
公開:18/03/09 13:02
更新:18/03/09 16:19

Kato( 愛知県 )

ヘルシェイク矢野のことを考えてたりします
でも生粋の秦佐和子さん推しです

名作絵画ショートショートコンテスト
「探し物は北オーストリアのどこかに…」入選

働きたい会社ショートショートコンテスト
「チェアー効果」入選

ありがとうございます

 

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