再開
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茶碗が家出した。と言っても実際に家の外に行ったわけではなく、ご主人様の寝室にあるタンスに忍ぶことにした。タンスの中でもとくに綺麗な衣装が入っている引き出しに身を隠した。どうせなら華やかな気分でご主人様を待ちたい。その思いがあだになった。
ご主人様は全然その引き出しを開けなかった。そりゃそうだ。その引き出しは、晴れ着が仕舞ってある引き出しだった。運が良ければ正月に開けてもらえる。そんなところに身を忍ばせてしまった。
茶碗はご主人様恋しさに痩せていった。痩せて痩せて、とうとうお猪口ほどの大きさにまでなってしまった。もうこのままここで碗生を終えるのか?諦めかけた頃、引き出しが開いた。
「えーなんで、晴れ着の上にお猪口があるの?
あたしが置いたのかな?まったくおっちょこちょいなんだから!
でもちょうどいいや。お屠蘇飲むのにこれ使おう」
そうして茶碗に新しい使命が与えられた。
ジーン。
ご主人様は全然その引き出しを開けなかった。そりゃそうだ。その引き出しは、晴れ着が仕舞ってある引き出しだった。運が良ければ正月に開けてもらえる。そんなところに身を忍ばせてしまった。
茶碗はご主人様恋しさに痩せていった。痩せて痩せて、とうとうお猪口ほどの大きさにまでなってしまった。もうこのままここで碗生を終えるのか?諦めかけた頃、引き出しが開いた。
「えーなんで、晴れ着の上にお猪口があるの?
あたしが置いたのかな?まったくおっちょこちょいなんだから!
でもちょうどいいや。お屠蘇飲むのにこれ使おう」
そうして茶碗に新しい使命が与えられた。
ジーン。
その他
公開:18/03/09 09:04
茶碗の気持ち
文章を書くのが大好きです。
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