受験

受験という試練を日々の鍛錬によって乗り越えたものには、まるで天国のような世界が待っている。

そんなのは全く以って夢物語だ。
最高学年として直近の一年を過ごしてきただろう。
遠く儚い試練だけに目を向ける生活がどれだけ楽だったか思い知らされる。
輪廻転生の如く赤子に生まれ変わり、人生のルーキーとして迎えられる。その苦痛を三年ぶりに味わうのは屈辱的だろう。

だがそんな詰みイベントにも逃げ道がある。
壁を乗り越えるのではなく、道の途中で座ってしまえばいいのだ。座って、道から外れてしまえばいい。
歩道から車道へ転がるように。高い所から低い所へ落ちていくように。

色々試行錯誤した私は、歩道を転がり進み、壁を蹴り壊して生きていきている。