花守り

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私は今日も水を撒く。
頭を捻って口をすぼめ、細くて優しい水を撒く。
色とりどりに咲いた花々は、誰かの生きた証であり、無事に「花葬」された証でもある。
右上で眠る老人は私の父で、今朝方私が花葬に付した。
彼はきちんと花葬されるか不安がっていたから、これが私にできる唯一の親孝行だったろう。

一枚、また一枚と舞い上がり、花弁は空に溶けてゆく。
結局私は最期まで、彼に感謝と敬愛を伝えることすら出来なかった。
これから先も伝えられる日は来ないだろう。
きっと私は、父と同じところには行けないから。



人の滅んだこの世界で、花守は今日も水を撒く。
いつか鉄の体が錆び付いて、この場所で朽ち果てるその時まで。
ファンタジー
公開:18/03/07 11:53
更新:18/03/09 00:15

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