内裏雛

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階段の一番上に座る。階段を上ってきた君は私に気づいて右隣に座る。
「何飲んでるの」と君が聞くから「桃の花のお酒」と答えてやった。手の中の紙コップを回すと、白の中で桃の花びらが揺れる。
「未成年飲酒禁止」
「女の子のお祭りだからいいの」
そういうもんかよ、と君は唇を尖らす。そして少し何か考えてから、「一口ちょうだい」と言ってきた。
「一口と言わず三口どうぞ」と紙コップを手渡す。君は私の言った通りこくこくこくと三回コップを傾けて私に返してきた。
「それ、甘酒じゃん」
「おいしかったでしょ」
と言ってやると、君は黙ってしまった。
三月に入り寒さも和らいだ。それでも石造りの階段にはまだ冬が残っているみたいに冷たい。
それなのに君は帰らず座り続けている。
私は残りの甘酒を、君の飲み口から花びらごと三回に分けて飲み干した。

階段の一番上。
三三九度の真似事。
これで私と君は内裏雛。
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公開:18/03/03 21:14

砂塵

読んでいただきありがとうございます。
話のおもしろさ云々はひとまず置いといて、とりあえず一本完結させることを重視して書いてます。
朗読ラジオ「月の音色リスナー」です(^o^)/
低浮上中なのでコメント返し遅れるかもですが必ずお返しします。

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