三つ目と一つ目。

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山に三つ目の一族が住んでいた。
木々や草、視界を遮るものが多い山中では三つ目は役に立った。

村に一つ目の一族が住んでいた。
果てしない畑や海を見つめるのに一つ目は役に立った。

山には掟があった。
『村には近づくな。一つ目の化け物がいる』
村にも掟があった。
『山には近づくな。三つ目の化け物がいる』
両者は恐ろしがり、決して互いに近づかなかった。

ある秋の事。
大きな山火事が起こり、三つ目の一族は恐る恐る村へ降りた。
一つ目の一族は驚いたが、住む場所を失った彼らを哀れに思い、村へ住まわせた。

暫くすると目の数こそ違うがお互い気の良い奴らだと知った。
夫婦になる者たちも現れた。
三つ目の娘も、一つ目の娘も子供を産んだが、その多くが二つ目であった。

やがて、山が元どおりになると帰る者も現れた。山にも村にも二つ目が増えた。

こうして二つ目の人間たちはどこにでも住むようになったのだ。
その他
公開:18/03/05 10:42

椿あやか( 猫町。 )

【椿あやか】(旧PN:AYAKA) 
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◆第18回坊っちゃん文学賞大賞受賞
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