姉ちゃん

「おもんないなあ」が口癖の姉ちゃんが帰って来た。

いつも不機嫌でケンカばっかの姉ちゃん。うちの顔見ていっつも「おもんないなあ」って言う。
しゃあないやん。みっちゃんらに仲間はずれにされてるんやもん。おもろい顔なんかできへんわ。
それ知った姉ちゃんはみっちゃんらを一人でしばいた。なんでそんな事するん、余計いじめられるやん、ほんまに姉ちゃんは自分の事しか考えてへん。そう言うた次の日に姉ちゃん車にひかれた。
うちは姉ちゃんが悪いんやってずっと思うしかできへんかった。

何年かして、うちの結婚式の前の日に姉ちゃんが帰って来た。祝ってくれるん？ぶち壊すん？どっちでもよかった。姉ちゃんごめんな。うちのためにやってくれたのにあんな事言ってごめんな。涙と鼻水とごめんとありがとうでうちはぐちゃぐちゃになった。
「あんたが笑っとらなおもんないわ。笑いや」
うちの頭をぽんぽんして、姉ちゃんはふわっと消えた。